「暗号資産を預けておくだけで資産が増える」——。 多くの投資家を惹きつけてきた暗号資産レンディング(貸借)サービスが、2026年度には大きな転換点を迎えることになりそうです。
2025年後半、金融庁の「金融審議会 暗号資産制度に関するワーキング・グループ」において、レンディングに関する非常に重要な議論が行われました。
今回は、その議論の内容を紐解きながら、「2026年度、私たちのレンディング運用はどう変わるのか?」を予測します。
1. 議論の核心:「決済」から「投資」へのルール変更
これまで、日本の暗号資産交換業者が提供するレンディングサービスは、主に「資金決済法」という法律の下で運営されてきました。これは元々、暗号資産を「決済手段」として捉える法律です。
しかし、2025年11月の金融審議会などで示された方向性は明確です。
「レンディングは『投資商品』としての性質が強い。したがって、より厳しい『金融商品取引法(金商法)』の規制を適用すべきではないか」
つまり、これまでは「貸借契約」として比較的緩やかなルールで運用できていましたが、これからは「株式や投資信託と同等の厳しいルール」が課される可能性が高いのです。
2. 2026年度に起こりうる3つの変化
もし金商法ベースの規制が2026年度に本格導入された場合、私たちユーザーにはどのような影響があるのでしょうか? 3つのポイントで解説します。
① 安全性の飛躍的向上(資産が返ってくる)
最大のメリットは「利用者保護」です。 過去、海外の大手レンディング業者が破綻し、顧客資産が戻ってこない事例がありました。金商法が適用されると、以下の対応が義務付けられると考えられます。
- 分別管理の徹底: 事業者の資産と、顧客から預かった資産を完全に分ける。
- 情報開示: 貸した資産がどこで、どのように運用されているか(再貸付先のリスクなど)の詳細な説明。
これにより、「事業者が倒産しても、預けた資産は守られる」という環境に近づくでしょう。
② 利回りの低下(高金利時代の終わり?)
一方で、デメリットとして考えられるのが「利回り(APR/APY)の低下」です。
- コンプライアンスコストの増加: 厳しい規制を守るために、事業者の運営コストが跳ね上がります。
- 運用先の制限: リスクの高い(=高利回りの)運用先への再貸付が制限される可能性があります。
これまでのような「預けるだけで年率○%」という高いリターンは、リスクに見合った適正な水準(=低利回り)へと修正されるかもしれません。
③ サービスの淘汰と寡占化
厳しい規制に対応できるのは、体力のある大手事業者に限られます。 中小の交換業者や、レンディング専業のスタートアップは、サービスの停止や撤退を余儀なくされる可能性があります。結果として、「大手証券系やメガバンク系の交換業者によるサービス」だけが残る形になるでしょう。
3. 私たちが今やっておくべきこと
2026年度の制度変更(予定)に向けて、投資家としては以下の準備が必要です。
- 利用中のサービスを確認する: 現在利用しているレンディングサービスが、将来の規制に耐えうる大手事業者か、あるいは規制強化で撤退しそうな事業者かを見極める必要があります。
- 「ロック期間」に注意する: 数ヶ月〜1年単位で資金をロックするサービスの場合、制度変更の過渡期に「引き出せない」という事態にならないよう、契約期間満了のタイミングを意識しましょう。
- 情報収集を継続する: 金融審議会の議論はまだ進行中です。「いつから」「どのような」規制が施行されるのか、金融庁の発表やニュースを注視しましょう。
まとめ:健全化か、魅力減か
2026年度、暗号資産レンディングは「ハイリスク・ハイリターン」な投機的サービスから、「ミドルリスク・ミドルリターン」の堅実な投資商品へと生まれ変わろうとしています。
「爆発的な利益」は狙いにくくなるかもしれませんが、長期保有(ガチホ)勢にとっては、「安心して預けられる場所」ができることは朗報と言えるでしょう。
これからの法改正の動き、引き続きウォッチしていきます。
(免責事項) 本記事は2025年11月時点の金融審議会資料および議論に基づいた予測であり、将来の法改正や制度内容を保証するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。
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